1、爪<蹄(ひづめ)>
 羊は偶蹄類といって爪が二つに分かれています。羊の蹄は黄金の蹄と称されますが、その理由(わけ)は羊を野草地や山に放すと牧草地へと代わりやがて肥沃な土地になっていくからです。

 羊がきれいに草を食べたあとに牧草の種を蒔きその上を羊の蹄が適度な力で踏むことで種を植え付けていくのです。また羊が歩くことは糞を撒き肥料を与えることにもなります。古(いにしえ)の大草原を羊を遊牧して歩いた跡が道になったとも言われています。

2、口
羊や牛の仲間は草を食べるので犬歯はなくて平らな前歯は下しか生えてません、固い上あごと下歯で草を噛むのですが、羊に特徴的なのは上唇が左右に分かれている点で、唇を器用に動かして短い草や木の葉を上手に食べます。下歯は8本生えており、毎年2本づつが永久歯に生え変わるので、5歳までは歯によって年齢が解ります。

3、目
 羊の目を見てるとビー玉のような焦点の定まらない視線に引き込まれ、何だか不思議な気分になりますが、これは瞳孔が横向きになっており、また大半の動物は顔の左右に目がついていて視野は広いが焦点を定めて物をみるのは難しいのだと思われます。

6、性格

 性格は温順で、臆病というのが一般的ですが、山羊との比較の中で私的考察をしてみます。 羊と山羊は似て非なるもの 羊と山羊は生態的にはかなり近い動物であり、偶蹄亜目、反芻類、牛科に属しますが互いに交配はできません。私が以前山羊の牧場を管理していたときにその行動から両者には大きな違いを感じました。

集団性と単独性

 山羊の群を追いかけると最初は羊群と同じく右往左往一群となって逃げますが、追われている対象が自分ではないと分かると、我関せずと平然と草を食べ始めたりするのです。ある意味薄情、いや独立心が高いというのがあてはまるのかもしれません。そして馬鹿と煙と山羊は高いところへ登りたがるのも事実。たとえば運動場に小山があるとその上に登ります。さらにその山の頂上に台を置くとすると争ってその上に立とうとするのです、それも器用に狭い場所でも。また柵の扉を簡単な留め金を引っ掛けるような仕組みで閉じておくと、しばらくすると学習して角で引っ掛けて留め金を外して脱走します。それに比べて羊はといえば、追いかけると一頭動くと皆動く迷える羊群となります。

 また子羊は結構敏捷に跳ね回るのですが、親になると山羊のような身軽さは見られません。でも以前カナダのロッキー山脈で見た野生の羊ビッグホーン(大角羊)はかなり山羊に近いというか狭い岩場にへばりつくようにしていたのを記憶しています。まあ人間の改良により野生の気質をなくしたのかもしれませんね。しかし山羊のような小狡さは無いというか、不器用でどちらかといえば学習能力は低いように感じます。ただ餌には異常に執着心が強いので、餌でつると誘導するのは容易です。

 面白いのは喧嘩の仕方の違いです。山羊も羊も雄は集団でいると頭をぶつけ合って戦うことがあります。羊の場合双方が後ずさりして一定の距離を置いたら立ち止まりせーので互いに突進して頭突きをして鈍い音を立てます。

 山羊はといえばその場に踏ん張り、前脚、上半身を浮かせ横向けに互いに頭をぶつけます。どちらも頭骨が硬いのは間違いないと思いますが、山羊と羊ではルールの違う異種格闘技の戦いとなり、お互い喧嘩になりません。一度山羊と羊、の種雄同士の喧嘩を見ましたがやはりおたがい戸惑い勝負になりませんでした。

 決定的な違いは死に際です。 私は昔山羊と羊の血液から人間の医薬品の原料を作る仕事の現場で働いていたので、両者を血液採取して最後は殺してしまう仕事もしていました。

 両者の臨場に立ち会うと山羊は往生際が悪いといいますか抵抗してかなり激しく暴れるのに対し、羊はあきらめてしまっているのか運命に従順であろうとするのか大人し過ぎて、断末魔に一言ベーと鳴き、とても申し訳なく感じてしまいます。屠畜場へ搬入するときも隣で豚が神経質に金切り声を上げているのに、羊は逆らわずに通路を自ら進んでいくのです。これは古来西欧の宗教において羊が生贄として神に奉げられ、神聖視された理由ではないかとおもうのです。

 ですからキリスト教の中でも羊が義しき(ただしき)ものに対して山羊は邪悪なものとされるような扱いを受けたけ表現があるようです。これはあくまで人間側からの勝手な解釈でありますが、羊が衣食住を担う、また美味で有益な存在であったことから大切に扱われたのは事実だと感じます。

 さて私も迷える子羊(Stray sheep)を正しく導き、良きもの(美味しいお肉、美しい羊毛etc.)にする善き羊飼い(Good shepherd)になれるよう努力するとします。すべては羊の命ずるままに

4、耳・聴覚
サフォーク種は耳が比較的大きく、チェビオット種は耳がウサギのようにぴょんと上を向いているように見えますが、形状はともかく彼らが鳴き声でどれだけのコミュニケーションをとっているかはよくわかりません。でも親子は鳴き声で確認しあっているのは間違いありません。子羊がはぐれて鳴いていると遠くで聞きつけた親が鳴き返し、おたがいを認識している様子が伺えます。分娩が近づくと親がお腹の中の子供に語りかけるような鳴き方をします。日本人は羊の鳴き声をまねるときメーメーといいますが、これはどちらかといえば山羊、あるいは子羊の鳴き声であり、羊の親は英語の表現でBaa 、すなわちバーとべーの間のような発音が正しいといえます。マザーグースの中にもBaa Baa Black Sheepという一説があり、映画ベイブの中の羊達もBaa Baaとしゃべっているので今度注意してください。
5、鼻・嗅覚
羊はかなり嗅覚の発達した動物だといわれています。種雄は発情した雌がいると山一つ向こうから駆けつけるとか?また親は子の匂いに敏感で、自分の子以外は受け付けないので、同時期に生れ落ちて別の親に付け子しなければならない時には、本当の子の羊水や後産を付け子になすりつけたり、親に匂いのきついオーデコロンをかがせて嗅覚を麻痺させたりという方法もありますが、これは視覚や聴覚より嗅覚が子を認識する重要なポイントであるからだと思われます。
脂腺

また羊の体には匂いを発散させる脂腺という組織が目の窪み、股の付け根、蹄の間にあり、仲間の認識に役立っているとのことです。

▼解体図もごらんください。
各部位の詳細もご覧になれます。