羊1頭無駄なく丸ごと活用する。

日本には羊と共に生きるという文化はありませんが、モンゴルや西アジアの一部では遊牧民が今も羊と共に生きています。肉や乳を食用にするのはもちろん、毛や皮も角も骨もつまり余すことなく衣食住に活用しています。これこそが頂いたいのちに対する礼儀ですね。
茶路めん羊牧場では肉も内蔵も部位ごとにお届けしています。また骨などは犬の餌用にとても喜ばれています。さらに毛刈りしたフリース(原毛)は手紡ぎ愛好家たちに喜ばれ、皮はムートンとして販売するほか椅子などの家具に活用しています。そして脂(体脂)は石けんに加工し「Sapoの丘」というネーミングで販売しています。手間はかかりますが頂いた「いのち」無駄なく丸ごと活用する茶路めん羊牧場の大きなテーマです。

①内臓の価値

日本では羊のモツ(内蔵料理)はマニアックな食べ物のように扱われていますが、遊牧民はモツを料理や加工品にして食べ尽くします。
内蔵はビタミンやミネラルが豊富でなんと言っても美味しいということは食通の方ならご存知ですね。
またスコットランドの羊の内臓をふんだんに使うハギスはスコッチウイスキーの友として有名ですね。
さらにイタリアンにはお馴染みのトリッパは羊の胃袋、茶路めん羊牧場では1番目の胃(ミノ)、3番目の胃(センマイ)、4番目の胃(ギャラ)も含めてすべての胃を使います。但しこの胃袋は内容物由来の独特の臭みもあるので、湯通ししてからスプーンや指でこそぎ落とし流水で洗い流すというとんでもない手間のかかる下処理が必要ですが、料理人さんからはとても喜ばれています。

②羊毛(フリース/原毛)

(1)クリンプとスケール
羊毛の繊維を良く見るとウェーブが掛かった縮れ毛(クリンプ)になっており、顕微鏡で繊維の表面を見ると鱗状(スケール)になっています。 繊維の縮れと表面の鱗状の構造が繊維をからまりやすくしており、紡ぎ糸になりやすいのです。また鱗が閉じたり開いたりして呼吸することで、水分を含んだり、発散したりしています。しかも繊維表面は水をはじく性質も持っています。 縮れた繊維は弾力があり、繊維の間に空気を含みやすいので断熱効果(暖かさ)がありますが水分は発散されるので、通気性もあり蒸れないのです。

(2)19種類ものアミノ酸とたんぱく質
また羊毛は多くの種類のアミノ酸からできたたんぱく質であり、色々な成分の染料となじみやすく、湿気を吸収するので染まりやすいのです。 水分を含んでいるので静電気がおこりづらく、またたんぱく質は燃えにくいので安全です。

(3)縮みやすい
ウールを手荒く洗うと縮んでしまいます。これは欠点ではありますが、縮むともとに戻らない性質を利用してできたのがフェルトです。人間が紡ぎの技を発見する前にすでにフェルトの布はあったとされています。フェルトはウールの断熱性や弾力性を生かして小物から大きな敷物まで縫い目のない布として重宝されています。

③羊毛綿

茶路めん羊牧場では委託加工で、手洗いした羊毛を綿打ち縫製して国産羊毛綿100%の寝具類を1枚から受注生産しています。

茶路めん羊牧場の羊毛布団

綿原料

茶路めん羊牧場で飼育するサフォーク種とポールドーセット種はダウンタイプと呼ばれる羊の品種であり、このタイプの羊毛は弾力性があるので、復元力があり、羊毛の間に空気をいっぱい含むので、保温力に優れていることはもちろんのことウールの特質である吸湿撥水性も兼ね備えており、通気性が良いので、シーズンを通じて快適に使用していただけます。またウールは打ち直しができ、目減り分1割を新しく加えれば元の弾力、綿量を復元でき、最終的は完全に土に返すことのできる環境に優しい素材です。

製造工程

洗いは帯広市の福祉作業所くさなぎ農園にお願いして、工業用モノゲンと重曹を用いて手洗いし、天日干しで乾燥させます。
通常工業的に大量に羊毛を洗う場合、羊毛の中に含まれる藁ゴミや汚れを、酸を使って融かす化炭処理という工程がありますが、手洗いに比べ、どうしても羊毛にダメージ(パサつき過ぎたり、繊維を弱くする)を与えます。
綿打ちは北海道士別市の井上布団工場で、昔ながらの綿打ち機(カード機)を使い、薬品による防虫、抗菌加工もおこなっておりません。カード機械は最近では高速の金属製のメタルカーディングマシンが使われていますが、この場合、事前に羊毛を一定の長さに切るカッテング処理をします。しかし繊維が短くなると、羊毛の持つ特質を十分に生かせません。その点井上ふとん工場では昔ながらのカーディングマシンを使用しているので、長い繊維をカットすることなくそのまま製綿できるので、羊毛の特性を最大限に引き出すことができます。また製綿の工程は、針布といって布に針を植え付けたローラーの間を通すようになっているので、製綿時に柔軟性があり、ウールを傷めません。またこのマシンを動かす動力も1台のモーターから布ベルトで力を伝導して、複数のローラーを動かすシステムになっており、使用電力も少なくてすみ、省エネともいえます。しかしながらこの機械を維持して、また目分量、手作業で綿打ちしていくのは職人の技術であり、いまどきこの機械を使うことは大規模な生産ラインでは時代遅れといえますが、羊毛と環境に優しい加工で、上質の綿を仕上げることができます。

生地

無地の綿100%の生地を使用。生地表面は繊維を押しつぶしたウールプルーフ加工が施してありますので、中の綿がはみ出るのを防いでおります。最近はダニをも通さない、高気密繊維生地がありますが、井上社長の考えはダニも通さぬ生地はウール本来の持つ通気性、吸湿性なども阻害するので、羊毛を使う意味が薄れ、薦められないとの見解です。ダニや埃の対策としては、定期的に干したり布団乾燥機にかけることが一番であり、チリ埃成分を掃除機でこまめに吸い取ることも必要。ウール自体に埃やダニの死骸がつくことはありますが、これは他繊維においても同じで、ウールそのものが埃の原因になるとはいいがたく、埃に関して言えば、ウールは静電気がおきづらく埃などを吸着しづらい性質があります。

お手入れと打ち直しについて

羊毛は吸湿、発散性に優れていますが、時々天日干しするか、布団乾燥機をかけて下さい。数年経過して、弾力性が劣ってきたら、中綿の打ち直しができます。打ち直し時の目減り分(約10%)を新しい綿で補い、側生地を新しいものにすれば復元可能です。打ち直しは井上布団工場で行うことはできますので、ご相談下さい。

布団カバー

当社では寝具の井上で布団側生地綿100%で作った布団カバーを別売りしております。

羊毛枕

「茶路の羊の夢枕」   牧場産ウール100%入り枕

羊が1匹、羊が2匹、羊が3匹・・・・・・・ 羊を数えながら、安らかな眠りにつける羊毛綿100%の枕です。

羊毛綿だけを詰め込んで作った枕です。羊毛はその性質から吸湿、発散作用があり心地よく眠れます。羊毛は保温性とともに、通気性にも優れています。またこの枕に使用しているサフォーク種をはじめとしたダウンタイプの羊毛綿は特に弾力性に優れております。750gの綿をロール状にきっちり詰め込み(輪切りするとウールがロールケーキの断面のようになっている)、二つに分かれるように縫っております。このことで、羊毛の弾力性、柔軟性に加えて適度な固さもあり反発力を保ち、頭にフィットします。・茶路めん羊牧場産国産綿で作った羊の枕をご愛用下さい。

  • 原料   国産羊毛綿 100%
  • 内容量    750g
  • 側生地 綿100% 無地 生地は現綿が飛び出さない加工を施したもの。中国製。
  • 寸法  生地の長さで 43×63cm(実際の寸法は綿が入った状態では小さくなります。縦33×横56×高11cm)枕カバーはつけておりませんが、市販のサイズ43×63cmですので、この寸法でお好みのカバーをお買い求め下さい。当社では寝具の井上で布団側生地綿100%で作った枕カバーを別売りしております。
  • 原料出荷元 茶路めん羊牧場
  • 洗毛  帯広市 くさなぎ農園 手洗い、天日干し
  • 製綿、縫製工場 寝具の井上  北海道上川郡士別市
  • 羊毛の環境浄化作用

    羊毛の特質として、ハウスシック症候群の原因となる環境中の化学物質を吸着し、しかもそれを浄化する作用があるといわれています。ですから、住環境にウールをたくさん用いることで、環境が浄化される効果があるといわれています。
    古代より羊毛が人間の衣や住に多く用いられてきたのにはやはり、このようなウールの持つ特質が自然と理解されていたからではないでしょうか。そして何よりも羊は太陽と水と土があれば草を食べて育ち、我々に再生可能な生産物を与え続けてくれる衣食住を担う貴重な動物であるといえます。

    石油から作り出した人工繊維はたしかに優れた性能を持っています。たとえば強度からいえばナイロンにはかないません。断熱性、撥水性や吸湿性にすぐれた素材も開発されています。しかし。未だに総合力でウールに勝る人工繊維は作られていないのが現状です。今後もし総合力でもウールを超える人工繊維が開発されたとしても、再生可能な羊から採れるウール、そして風合いとして、感じる動物繊維の良さを化学繊維が超えるのは困難なのではないでしょうか?

④サフォーク靴下

顔と手足の黒いサフォーク種はお肉も美味しいですが、ウールは弾力があり、空気を含んだ暖かさを保つ毛糸になります。このサフォークの羊毛を生かした商品ができないかとここ25年地道に努力を続けてきた岩手の山本実紀さんが紡績会社や靴下工場と相談しながら、茶路めん羊牧場の羊毛を原料にして作ってきたのがサフォーク靴下です。サフォーク種の中でも生まれた翌春初めて毛刈りした羊毛だけを用いて、弾力があり、繊維も比較的細い特徴を生かして独特の風合いをだしています。足下を暖め、しかも汗を吸収して蒸れずに、臭いも防いでくれます。冷え性の方や外でのお仕事や冬のアウトドアーレジャーを楽しむ皆様にも重宝されています。また水虫の方や冷え性の方からも好評です。糸の強度を増すために、ナイロン(7%)、ポリウレタン(5%)を入れております。長靴などを履き外仕事で使うときはこの上にもう一枚靴下を履くといいです。絹の薄手の靴下を中にしてサフォーク靴下を重ね履きされる方もおられます。お蔭様で、年々リピーターが増えております。
家の中では廊下などはすべりやすいのでご注意下さい。ウールはどうしても強度では化学繊維ほどには強くないので、摩耗で破れやすいのは事実ですが、重ね履きなどして丁寧に扱っていただければと思います。

⑤ムートン

ムートンの毛の部分は羊毛で触れたのと同じ特質を持っています。皮の部分も呼吸しているわけでたとえば水をこぼしても自然に蒸散してしみにはなりません。ムートンの敷物の上に座ったり寝たりすると得もいわれぬ心地よさを感じますが、羊毛が優しく受け止めてくれるからで、寝たきりの方の床ずれ防止にもなります。茶路めん羊牧場では皮が薄く羊毛も細くてしなやかなラムの毛皮を選び、ムートンに加工します。中でもミルクラムとして生後3ヶ月までにと殺するものや有色で色合いのよいものは貴重です。加工は新潟県の布川産業さんにお願いしています。

⑥羊油せっけん「サポーの丘」

人と自然に優しい石けん

「サポーの丘」は洗浄力、泡立ちという本来の石けんの働きに加え保湿性も重視しました。お肌の弱い方にも安心して使っていただけるよう、合成の香料や着色料、防腐剤などは一切使用していません。また排水に流された成分はそのまま自然界で完全に分解される人と環境に優しい石けんです。

こだわりのコールド製法から生れる、
まるでチーズのような石鹸

羊油の中の天然の保湿成分であるグリセリンを残すために、ゆっくり40日間休ませるコールドプロセスという製法で作っています。手間と時間をかけて一つ一つ丁寧に並べられ、熟成される様子はまるでチーズ作りのようです。食肉の副産物である羊油をはじめ、石けんの働きを高めるために加えられたオリーブオイルやヤシ油、保湿成分として加えたのは地元のチーズ工房「酪恵舎」のホエー、地元ノースベリーランドの森のカエデ樹液から作られるメープルシロップなどすべて食品素材を使っている消費期限のある石けんです。香り付けには羊と相性の良いローズマリーをベースにして、草原の爽やかなイメージで3種類の精油をブレンドしました、いずれも天然素材です。

脱パーム油

現在石けん原料には安価なパーム油が多く使われていますが原産国マレーシアやインドネシアでは、パーム油の原料であるアブラヤシのプランテーション開発が進み、環境や社会問題を引き起こしています。羊油はパーム油と類似した脂肪酸組成であることから、サポーの丘は脱パーム油石けんとして完成させることができました。尚「サポーの丘」に含まれるヤシ油というのはココナッツ油のことでありアブラヤシとは異なるものです。

※石けんの使用上の注意

安全な原料を使用し、管理された工程で製造しておりますが、石けんの感受性には個人差があります。ご使用中にお肌への刺激などを強く感じられることがあれば、ただちに使用を中止して下さい。またコールド製法で作った石けんは普通の石けんに比べ柔らかく水分に対して溶けやすい性質がありますので、ご使用後は水はけの良いソープディッシュなどを使用の上、風通しの良い場所に保管してください。

※ご使用に際しては泡立てネットのご使用をお奨めします

コールドプロセスの石けんは泡立ちに限度があるので、泡立てネットの使用をお奨めします。

オリジナル・ブランド(PB)の石けんはいかがですか?

この石けんをあなたのお店や会社のマークなどを使ったパッケージで包装してオリジナル石けんに仕上げることが出来ます。また、石けん本体にオリジナルのマークを刻印することも出来ます。ギフトや記念品としていかがですか?数量(ロット)やコストなど、詳しくはお問い合わせください。

~石けん誕生物語~

古代ローマ、サポーの丘の神殿で神様への捧げ物として祭壇で焼かれた羊。その羊から滴り落ちる油の雫が木灰と混じり、脂肪とアルカリの偶然の反応が起こり、これが浸み込んだ土は「汚れを落とす土」として珍重されました。これがサポーの丘の石けん誕生物語です。  時は流れて、北海道・白糠、茶路めん羊牧場から自然の恵みを生かした羊由来の石けんが誕生しました。名付けて「SAPOの丘」。主原料は茶路めん羊牧場の羊の油、地球にも人の肌にもやさしい100%天然素材。羊油から作られた化粧石けんは国内初です。

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