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ともぐい〈書評〉

2024年2月2日

「ともぐい」 河﨑秋子箸 新潮社 2024年1月直木賞受賞作。

著者は元羊飼い、我々の仲間。文学と羊飼いの二刀流をしていたが執筆に専念するために羊飼いを止めた。その後の彼女は堰を切ったように、作品を出し続け、北海道、自然、農業、開拓の歴史、それらを独自の物語として生み続けてきた。その中身はかなり激しい、生生しい部分もあるが、随所に農家で育ったから、生身の動物と接していたからこそ生み出される描写があり、思わずそれはわかるよと頷く。2度目のノミネートで見事審査員が絶賛で、直木賞を受賞。個人的には彼女がいつどのような形で、羊を物語にするかということが楽しみであり、自分ならどうするだろうと想像を巡らせています。彼女の描く羊物語は過去の物語ではなく未来につながるものになることを祈るような気持ちで恐る恐る待ち続けている。

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