釧路のレストランガストーラで今季最初の丸焼き

4月5日、釧路のレストランガストーラで20周年記念のパーティーがあり、今シーズン最初の丸焼きを敢行。結構いい感じで仕上がったので報告します。

ガストーラさんはバスク料理のお店で、開店当初からのお付き合いで、いつでも茶路めん羊牧場の羊を食べることができます。

道東方面へお越しの際にはクオーレとともに足を延ばして羊三昧してください。


バスク料理とは

バスク地方は現在はピレネー山脈をはさんでスペイン側とフランス側にわかれていますが、ヨーロッパでは食の宝庫として、知られており、ガストーラの安藤さんはフランスのバスクで修業を積まれました、現地では羊は欠かせない素材であり、出身地釧路で開業なさる時に是非にと頼まれて、お付き合いを始めさせていただき、配達の度に厨房に入り込み、仕込んでおられるお料理を味見させていただきました。そのお料理は豪快で、繊細とでもいうべき、相反する融合で、クルーゼの鍋ごとテーブルにドンと置かれる煮込み料理は材料が形のまま存在しながらも、スープには素材の中からにじみ出た味が絶妙にとけあって、醸し出される計算された味わいで、魅了させてくれるのです。

ガストーラではラムよりマトンを味わってみてほしい気がします。

武藤浩史

ともぐい〈書評〉

「ともぐい」 河﨑秋子箸 新潮社 2024年1月直木賞受賞作。

著者は元羊飼い、我々の仲間。文学と羊飼いの二刀流をしていたが執筆に専念するために羊飼いを止めた。その後の彼女は堰を切ったように、作品を出し続け、北海道、自然、農業、開拓の歴史、それらを独自の物語として生み続けてきた。その中身はかなり激しい、生生しい部分もあるが、随所に農家で育ったから、生身の動物と接していたからこそ生み出される描写があり、思わずそれはわかるよと頷く。2度目のノミネートで見事審査員が絶賛で、直木賞を受賞。個人的には彼女がいつどのような形で、羊を物語にするかということが楽しみであり、自分ならどうするだろうと想像を巡らせています。彼女の描く羊物語は過去の物語ではなく未来につながるものになることを祈るような気持ちで恐る恐る待ち続けている。

羊と日本人〈書評〉

私が羊飼いを始める前に、鹿追町史の中に小室道郎という羊飼いについて触れた短い記述を発見した。その内容は大正15年に鹿追町の熊ノ沢付近に小室道郎が牧場を開設、豪州から輸入した数百頭の羊を、牧羊犬を使って放牧管理した。元々法律を学ぶため米国留学中に羊と出会い、帰国後滝川種羊場の技師を経て、同地に就農、豪放磊落な気質で、斗酒なお辞せず、その後、満州における綿羊の普及指導のため渡満して、昭和13年に閉場とあった。もちろん小室道郎については「羊と日本人」の中に詳しく記されている。

私はそのミステリアスな羊飼い像に憧憬を抱き、いつか調べてみたいと思っていたのだが、それがある日著者山本佳典さんの突然の訪問を受け、明治以降の羊の歴史を調べていると伺い、小室のことが頭に蘇り、その話を皮切りに、主に戦後のめん羊事情、現在の羊の状況について、時間を忘れて話し込んだ。巻末の参考資料を見てもらえば頷けると思うが、綿密な取材活動を元に史実を時系列にまとめていることで、この本は日本の羊の歴史書として価値づけられるのはもちろんのこと羊を通して、明治維新からの日本の歴史の背景を辿っている。またその羊史を人物にスポットを当て、登場する人物を一人一人その出自から調べ、ほとんどの方はすでに他界されているわけだが、現存されているお子さんお孫さん、親族にまで取材を試み、家族アルバムに保存されていた写真や、関連する新聞記事、日記までを顧み、その人物像を客観的にとらえることで、読者に実像を想像させてくれる潜在力がある。おそらくこの中に登場する人物の多くは著者が発掘しなければ、やがてファミリーヒストリーとして継承されることもなくなり、人々の記憶から消えていったであろう。その点でこの本はぎりぎりのタイミングで書かれたといえる。小室を例にとればご子息羊王太郎氏がご存命であることを調べ、何度か取材されている。私も著者と一緒に面談する機会を得た、父親に翻弄され苦労させられたことを話し、苦笑しながらも、草原に鈴蘭が咲き、羊が放牧されている風景を懐かしく語られて、なぜか安堵した。

本書の中に登場する人々の羊への思いの連鎖が我々現在の羊飼いへと繋がり、名も無き人々の幾多の苦労があって、わずか2万頭とはいえ、今日本に羊が絶えることなくいる事実を知り、胸が熱くなる。国策に翻弄されて、軍需目的で増減した羊ではあるが、大陸で活躍した羊人たちは、戦争を推進するのではなく、羊の普及に占領地の人々と羊という共通語での交流を求めていたように思える。その幾度かの増頭計画で、何万頭もの羊が輸入され、研究体制も整っていたことは羨ましくもある。

今の羊のおかれている状況は日本のめん羊史の中でも相当に不遇の時代ではあるが、羊に魅了される人々は絶えない。羊と何の関わりもなかった著者と羊との出会いも摩訶不思議であり、彼を突き動かせたものは何なのか、取材が進むにつれ、後戻りできなくなったのは羊の仕業に違いない。著書の最後で、なぜ羊を飼い続けるのか?との著者からの問いに対して、羊飼いからの曖昧な応えは経済的理由や生産物の多様性などの理屈よりも羊を「好きだから」という感情的な言葉だった、羊を飼う理由に理屈めいた答えはなく、家畜の中から羊を選ぶという行為こそ、その理由の本質が隠れているように思う。と結んでいる。現在の羊関係者必読の書である。

茶路めん羊牧場 武藤浩史

茶路めん羊牧場では従業員を募集しています。

茶路めん羊牧場では羊の繁殖から肥育までを一貫して行い、種畜生産、生産物の加工販売、レストラン運営、商品開発まで羊に関わる全てを自ら手掛けています。

 羊の命を無駄なく丸ごと活用することを目指して、土-草―羊の連携プレーからいかにして健康な羊を作るか、37年間日々努力してきましたが、まだまだ道半ばです。現在、正社員として1名職員を募集しております。経験の有無は問いません。羊飼いを職業として、将来牧場を担えるやる気のある人材を求めています。遠隔地の方はリモート面接をさせていただきますので、まずはお問い合わせください。

茶路めん羊牧場公式サイト

メールはこちらから・・・

担当 代表取締役 武藤 ☏ 090-2071-3014 

あけましておめでとうございます。

2024年を迎え、新年早々大きな地震があり、被災された皆様に、お見舞い申し上げます。世界では紛争が続き、被害を受けるのはいつも一般市民です。

イスラム教でもユダヤ教でもキリスト教でも羊は大切な存在です、ロシアも羊は大好きで、ソ連邦時代には世界で一番羊の飼育頭数が多かったのです。羊は家畜の中で最も攻撃的でない生き物です。平和な時なら羊はパレスチナでもイスラエルでも祝い事には欠かせない食べもののはずです、一日も早く、終息し、当たりまえの日常が取り戻されることを祈るばかりです。

ここ茶路めん羊牧場では平穏な新年を迎えらたことが当たり前ではないということを改めて、感じて、感謝します。

畜産の現場では昨年は飼料や資材の高騰で、茶路めん羊牧場においても自家配合飼料の原料費が前年比142%上昇となり、今年も更に上がるような雰囲気です。光熱費、消耗資材費も値上がり、弊社も昨年11月に商品全般に値上げさせていただきました。皆さんにはご理解いただき感謝しておりますが、値上げだけに頼ることなく、再度無駄をなくし、生産性を上げ、羊の特性を生かした放牧利用を高める努力をして、生産物を更に無駄なく有効活用して、羊の魅力を感じてもらえるよう、持続可能な羊牧場を目指します。

このことは37年前に羊を飼い始めたときからの命題であるにも関わらず、遅々として進まず、自らの怠慢を反省しております。羊も土も草もゆっくりと変化しているので、その動きを壊さず手助けするのが人間の役割です。なので地道な努力を怠れば、進みません。毎年今年も春の放牧の時期が遅れてしまった言い訳をするわけにはいきません。しかしながら年には勝てず、満身創痍の身体は年々ゆうこと効かなくなってきます。階段の上り下りやトラックの乗り降りも不自由になるのは困ったものです。

羊が土地に馴染むまで、一喜一憂しながら見守り続けるには一人の人生だけでは足りないことに気が付いた時から羊の時刻に合わせるには見守る人間が継承していかねばならないと思い始めました。

残された時間の過ごし方はいかにあるべきか、まだまだ分からないことばかりですが、何を学び、どう伝えるかを考えています。 とにもかくにも今年も健康な羊から、良いねと言ってもらえるモノづくりにスタッフ一同、更なる高みを目指し頑張る所存です。今年も茶路めん羊牧場をよろしくお願いします。